- トラップ、PBPとBrevetを知る
- ブルベについて調べまくる
- 2020年度 (2019/11〜2020/10)
- 2021年度 (2020/11〜2021/10)
- 2022年度 (2021/11〜2022/10)
- 2023年度 PBPイヤー
- 青天の霹靂
- 悩みながら過ごした約一ヶ月、そして旅立ち
トラップ、PBPとBrevetを知る
PBP (Paris-Brest-Paris)というものがあると教えてくれたのは、2019年に佐渡ロングライド210でお会いしたおきゃさんだった。
決められたルートを決められた時間内に走ると世界的に認定される『ブルベ(Brevet)』という自転車ロングライドの最高峰とのこと(注: BRMとして)で、参加する為には、200km, 300km, 400km, 600km の各カテゴリーを完走して『SR』というものを取らないといけないんだとか。
パリから真西の海の街ブレストまで自転車で片道600km走り、そして再びパリまで600km戻って来るという夢のような話に大いに興奮したのを覚えている。
かくして私はブルベの世界へ足を踏み入れたのでした。全ては、まだ見ぬ PBP を目指して。
ブルベについて調べまくる
右も左も分からない中、ネットで様々な情報を集め始めた。総元締めはパリの ACP (Audax Club Parisien)で、その配下に各国の団体があり(日本だとAudaxJapan)、更にその配下に各地のブルベ団体があるとのこと。
ほとんどのブルベ団体はスポーツエントリーのサイトから申し込みを受け付ける模様。今までに走った佐渡ロングライドやツール・ド・東北のようなロングライドイベントとは違って、エイドやサポート、回収車があるわけではなく、全て自己完結、自己責任のルールある大人の遊びなのだという事などなど。
色々なWeb記事やブログ、本を読み漁ったけれど、参考となったのが虫さんのブログ『坂はクソ!!!!』。楽しさ、苦しさ、活き活きとした文章がまるで自分が走ってるような臨場感で、刺激を受けた。
2020年度 (2019/11〜2020/10)
初年度の目標
過去に佐渡ロングライドで210kmは走っていたので、初年度の目標は 200km, 300km の2つに絞った。
初の200km
200kmは楽勝かと思いきや、慣れないドロップハンドルと前傾姿勢に肩や首が痛くなり、サドルも合わず股擦れの三重苦。更には補給に失敗して軽いハンガーノックに陥るなど散々。それでも、コーラとコンビニ肉まんの力でぎりぎり走り切った。
初の300km
次の 300kmは、春開催の予定が秋に延期になったのだけど、とにもかくにもオーバーナイトで走るのは初めての経験。夜中から朝方にかけての寒さ、最後の数十キロで急に天候が変わり、雹は降るわ雷雨になるわでびしょ濡れでボロボロで完走した記憶。時に、この時最後に写真を撮っていただいたじょいさんと数年後に再会する事になるとは縁ですねぇ。
2021年度 (2020/11〜2021/10)
二年目の目標
最初は、400km完走までが目標だった。しかし、PBPへの申し込みは前年度に長い距離を走った人から優先的にエントリーできる(プレレジ)と聞き、200,300,400,600 を完走して SR を取る目標に前倒し。
200km, 300km も甘くはない
200km, 300km は昨年度と同じコースで確実に取る方向で行ったが、春先の深夜スタート300kmは洒落にならない寒さで、途中で携帯カイロを仕入れても足りず、凍えた指にあたたかいほうじ茶をぶっかけてなんとか走った。気温や天候によってこれ程までに厳しくなるのかと身をもって知った。
初の600km
400, 600 と順に行く予定だったが、世の中は例のアレで開催中止が増え、このままでは走れず SR が取れなくなる為、先に 600km にチャレンジする事にした。行程のうち、3分の2 にあたる 400〜450kmほどずっと雨で、バッグへの浸水、モバイルバッテリー、動画カメラの水没破損と、雨天ライドの厳しさを(機材破損の金銭的負担も)思い知った。
補足) こういう時、携行品保険に入っておくと良いです。一年で10%ずつ減価償却されるけれど、破損や水没の際に修理費とか出ますので。なお、この時は入ってなくて全損でした(泣)
初の400km
残る 400km は、何もわからずに群馬の山を上るものにエントリー。それ自体は良かったのだけど、序盤40km程の峠下りで濡れ落ち葉に滑り、初めての大きな落車を経験。左肩を強く打ち、強い痛みと肩が上がらない状態に。PCでの服の脱ぎ着の度にイツツツツ…とうめきながら残り360kmを走ってギリギリで完走。初のSR取得となった。
初の左鎖骨骨折
400kmを終え家に戻った後も痛みが取れず、知人の勧めで病院に行ったところ鎖骨骨折と判明。専門の整形外科にまわされ、初めての手術を受けることとなる。
あの時、折れたと知ってたら、走らずにリタイア(DNF)してたのに無知って怖い。終盤体力激落ちでだるくて仕方なかったのも骨折のせいだったか…。
鎖骨骨折顛末記は別途ブログに書いているけれど、2021年度はこれで全て走れなくなり、年末まで不自由な生活を送ることとなった。ほぼ意識しなくなるまでに一年、プレート除去までは一年半かかったな…。
2022年度 (2021/11〜2022/10)
ブルベ復帰
ブルベのシーズンは 11月から翌年の10月まで。まだリハビリは続いているけれど、主治医の許可も下りたのでシーズン開始早々にエントリーしたのが400km。一時はもう何も出来ないかとまで落ち込んだが、無事に完走できたことで、また走れるとわかり嬉しかった。
続く 600 では、結構な上りに加えて都会の信号の多さ(信号峠)に苦しめられ、制限時間5分前で完走。ギリギリ隊ではあったがなんとか走れた事にホッとする。
初めてのしまなみ海道、寒さに負ける
年が明けて間も無く、しまなみ海道を走る600kmにチャレンジ。地元よりはるか南だから暖かいだろうと思ったらこれが予想外の寒さ。
寒すぎてドリンクボトルの水も凍り、指も凍え何度もほうじ茶をかけて進んだ。しかし、補給も熱量発生も間に合わず、暖を取るためのコンビニ休憩が増え、最終的に時間がまったく足りずタイムオーバー。初めての DNF となった。寒さへの備え、対策の重要性が身に染みるブルベだった(でも楽しかったけどね)。
その後は順調に
春先には 200km x2 を獲得し、100周年記念300など、地道に積み重ねて今年も SR を獲得。
GW期間に 1,000km 2連発
PBPは1,200km。可能な限り、長い距離を走る経験を積むべく、GW期間に2本の1,000km BRMを入れてみた。
八戸1000では序盤の風や山の寒さに苦しめられながらも、初日は道の駅での仮眠で済ませることでなんとか時間をやりくりして達成。ブルベ中初めてのパンクも経験した。
奥の細道1000では初日の雨で動画撮影用カメラが壊れ、翌日には全ての生命線だったiPhoneが水没破損するという事態に。それでも先へ進んだものの、撮影も情報取得もアラームも連絡も何も出来ないとなり、走行計画もキューシート(iPhoneの中)も見れずで折れてDNF。色々な物に予備は用意していたが、スマートフォンの予備までは考えて無かったのが敗因。
ともあれ、この二つの経験からわかった事は、借金を作ると取り返せない体質だということ。常に貯金を持って進まないと自分はダメなのだと思い知った。
右鎖骨のヒビ骨折
1,000も走れた事で少し自信を持ち、龍飛岬を走る600にエントリーしたのだけど、また第一区間で落車。路面の溝にタイヤが挟まり右側へ転倒してしまった。腕はまだ上がる状態だったが、徐々に痛みが強まった為、大事を取ってPC1でDNF。速攻で病院に行ったところ右鎖骨のヒビ骨折で、またしばらく乗れなくなった…。まだ左肩のリハビリも続いているというのに両肩をやってしまうとは情けない…。
8月 PBPまであと一年
PBPまであと一年ということで、現地のホテルや飛行機やらを調べ始めた。Booking.com でホテル予約できる事は確認したものの、現地の土地勘がまるで無いから選べない…orz
飛行機はロストバゲージが怖いので最初から直通で考えてたけれどもなかなかに価格が高いし、CDG空港からホテルまでどう移動すべきかもよくわからず、そっ閉じ。
英語もろくに話せないし、悩んだ末に、割高にはなるけれども、初海外遠征でトラブるのも嫌で、グッディスポーツ(スワンインターナショナル)のツアーを利用する事に決めた。安心は金で買えの方針。
名古屋から青森へのワンウェイ1000
2021年度開催予定だった名古屋1000が一年延期されて開催されることに!昨年は左肩がだめで DNS としたのだけど、ギリ右肩も治り晴れて参加できることに。
台風が迫る中でのワンウェイライドで参加人数も少なかったけれど、この時に一緒に走った方々との連帯感は並大抵の物ではない。旅する感たっぷりで実に思い出深いブルベとなった(^^)
プレート除去
名古屋1000を終えた後、骨も充分にくっついたという事で、邪魔だった左鎖骨のプレート除去手術を受けた。このまま一生入れていても良いとは言われたが、リュックとか背負うと当たって痛くて仕方ないので、外す決断をしたのだった。後になって思えば外さない方が良かったのかも知れないが…。
2023年度 PBPイヤー
SRの早期獲得に向けて年内に400,600を
PBPの優先申し込みは『前年度に長い距離を走った順』だけど、参加資格は『当年度6月までにSRを獲得している事』が条件。
プレート除去手術後でもあり、シーズン開始すぐは走れなかったものの、なんとか年内に 400, 600 の2つを完走。
この時にお会いしたMotoさんと、パリで再び会う約束を交わすが、数日後に日本橋さんのPBP勉強会で早速再会したのはご愛嬌(^^;
姫路1000、初めてのシャーマーズネック
昨年、寒さに負けて泣く泣くリタイアした姫路600しまなみ海道。ハンドルカバー(バーミッツ)を導入し、クイックビブ0度対応とウェアの防寒対策も強化しての再チャレンジ。元旦早々に1,000km走るという事で気合いを入れた。
装備も走行計画もうまく行き、向かい風に苦しめられながらも順調に走っていたのだけれど、ずっとメットに360度カメラを着けて走っていた事が災いした。750kmを過ぎた辺りで首に違和感が出て850km過ぎでシャーマーズネック発生。紐で縛ったり色々やったものの最後まで保たず、ついに920km地点でDNFと散る。
PBP前に動画撮影とその場合の首の問題について実験出来たのはとても良い経験ではあったが、なんとも情けないDNFだった。
1/14 PBPプレレジ開始
前年度に1,000km完走してるので、プレレジ開始と共に登録。世界中からのアクセスでサーバーがダウンするとかなかなか登録できずで苦労した(こちらも別途ブログに記載)けど、なんとか早い組で登録でき、ほっと一安心。
グッディスポーツツアーの方も、本登録が始まってだんだんと具体的になってきた。パスポートは再来年まで有効のを持ってたので問題なし。
一月お休みして再び復帰
一月に走る予定だった200は首の事もあってDNSとなったが、2月以降は再び遠征ブルベが続いた。
追い風400では再び名古屋の地(三河安城)で皆さんとの再会を果たし、その後も日本橋さん、宇都宮さんのブルベを走り、楽しい日々を過ごした。SRも楽しい内に獲得。
飛行機輪行箱を用意し始める
形状が特殊なので市販の輪行箱は使えない為、あれこれ考えた末に厚手のダンボールで任意サイズの箱を作ってくれるところに依頼。これとは別にプラ段も用意して、最終的に200cmサイズに収まる箱が出来た。
初のフレッシュ
基本ぼっちなので永遠に無いと思ってたフレッシュ。ご縁があって声をかけていただき、ようやく自転車でも全線走れるようになった国道6号を駆け抜けた。グループで走ることの楽しさと難しさを同時に経験でき、一緒に走ってくれた仲間には感謝の限り。
GW仕事と病に潰れる
PBPイヤーで各地で楽しそうなロングライドが花盛りというに、仕事でどこにも行けない事が決定。気落ちしたせいか風邪をこじらせてしまい、最後にはインフルまで拾ってダウン。何も出来ないGWだった…(_ _;
5/27 PBP本レジ開始
ACPからのメールで、本レジストレーションが可能になったとの事。今年度のSRは獲得したので問題無くスムーズに行った。
グッディスポーツツアーの方も、5/末までに残金の振り込みを済ませて一安心。ただ、支払い月が来るのが怖い(汗)
相馬600
相馬600では、噂の 8000m up ということで、かつて電アシクロスで上った磐梯吾妻スカイラインを楽しんだ。走り切れたことで一歩一歩着実に積んでるという実感が湧いてきた。
青天の霹靂
…しかし、ここで大きな問題発生。最後の最後、ゴールまであと数キロというところで歩道に乗り上げ、砂に滑って落車し左肩を強打した。この痛み、この腕の上がらなさ…あの時と同じだ…鎖骨折れた…(;_ ;)
ほんのちょっとの油断、あと目と鼻の先でショックが大き過ぎる。後悔と悔しさの中、押し歩いてゴールし完走したけれど、この先どうしよう…。
幸い骨のズレはほとんど無く、普通ならバンド固定で数ヶ月との事だけど、PBPまではあとわずか一ヶ月。とても完治は間に合わない。手術するにしても術後の回復時間はギリギリで乗れるかどうかも微妙。
主治医と何度も話し、少しでも走れる可能性にかけて手術をせずにバンド固定での自然治癒方向としたが、この時点では参加自体も危ぶまれる状態に…。
悩みながら過ごした約一ヶ月、そして旅立ち
それから一ヶ月、鎖骨固定バンドを着けて気をつけて気をつけて過ごした。まだ行けるかどうかわからない状態だったけれども、日本橋さんのPBP直前勉強会にも参加して、とにかく最後まで諦めずに粘ろうと。
そして、PBPまであと一週間。恐る恐る受けた検査の結果は、少なくとも悪化はしておらず、薄っすらと骨がつき始めてるとの事。決して安心できるものでは無いけれど、これならワンチャンあるかも!
がっつり実走する時間は無いけれど、ぎりぎりローラーに乗って回せるようにもなったし、衝撃が加わると痛むけど、脱力すれば走れなくは無さそう。
かくして、独りで着け外しできる鎖骨固定バンドをし、万が一に備えてバイク用プロテクターも両肩に装着して、PBP へと、フランスへと旅立つ事とした。
なんとしても、あのスタートラインを、スタートゲートを越えるんだ!
to be continued...