トラップの音楽と自転車ブログ

多分、自転車ネタ中心に、時折音楽の話とか。

シャーマーズネックは恐ろしかった

前書き

BRM101近畿1000km姫路を走った際、PC3(725km地点)を越えた辺りで普段と違う首の痛みを覚えました。

それまでずっとヘルメットに360度カメラ (Insta360 ONE X2)を着けて走ってたので、こいつのせいだな…と途中で取り外したのですが、その夜に突然首が上がらず前を向けなくなりました。

これが、シャーマーズネックでした…。

シャーマーズネックとは

ロードバイクは前傾姿勢で乗車するので、前を見る為にはある程度頭を持ち上げる必要があります。

長時間ライドで首が疲れると次第に頭を持ち上げられなくなりますよね。まぁ、この位はよくある話ですし、そんなに無理して頭を上げずとも上目遣いに前を見て走ればいいのです。

…が、そういったレベルでは無く、首を真っ直ぐに保つ事が出来なくて顎を引いたみたいにだらんと落ち、全く前を見る事が出来なくなる症状、それがシャーマーズネック(>_<)

特徴的なのは次の点。

  • 突然発症する
  • 首自体が痛いわけではない
  • 顎を下から支えるとか頭を後ろから引っ張るとかしないと前が見れない
  • 自分の意思ではどうあがいても首を上げられない。首がだらんと落ちて真下しか見れない(泣)
  • 首がナマコか何かになったみたい(泣)

首が痛いというのではないし、我慢すれば…とか、頑張れば回避できる…とかいうものでは無いんです(T-T)。真下しか見れないから、目を瞑って走るようなもの。つまり、「走る」事自体が不可能になるまさに致命的なものでした。

シャーマーズネックの原因

人の頭って 4〜5kg はあります。頭という重い荷物を、前傾姿勢で前に突き出して細い首で支えている以上、多かれ少なかれ誰でもシャーマーズネックになり得ます。

それに加えて、更にヘルメットを被ってライトを装着して…と重石を増やしているんだから、そりゃ筋肉疲労も蓄積されるというもので(>_<)

更に今回は、次の要因も重なりました。

  • 寒さ
  • 距離
  • 動画撮影カメラのヘルメットへの装着

寒いと全身の筋肉がこわばります。不必要に力がかかっていつもよりも首や肩に負担がかかり、それが蓄積されて突然来ます。

何をもって長距離と言うかはありますが、600kmまでと1,000km以上ではやはり次元が異なります。僅かな負担が徐々に蓄積され、今回の場合は800km以上で吹き出しました。

その上で、今回はメット上に360度カメラを装着して走ったのがまずかった。今にして思えば、走り始めて間も無くでも首の両脇が張る感じしてましたから、ずっと首や肩に負担かけまくってたんでしょうねぇ…。

メットへの取り付け詳細







使ったカメラは Insta360 One X2 。重さは 160g位。

取り付け位置については、いろいろ試してみた感じ、前に重心が来ると重く感じるので、できるだけ後ろに来るように調整してみました。

これなら横を向くと多少振られる感はあるものの、思ったほど重さは感じないし、少しメットから離れることで 360度いい感じに撮れるのも悪く無い。

片道30分程度のフィールドテストを行いましたが、ほとんど気にならなかったので、これなら行けると思ったんですよね。

まぁ、それが間違いのもとでしたが(汗)

実際に長距離を走ってみて

サドルでもそうですが、100kmで大丈夫だからと言って200kmも大丈夫とは限らないもの。600kmまでは何とも無くとも1,000km走ろうとすると問題になるとかザラにあります。

今回のケースもまさにそれ。

走り出して間も無く

最初は、多少の重さと、横を向いた際に振り回されるような負荷は感じたくらいで特に異常は無し。でも今にして思えば、首の後ろ両脇に張る感じがあったかも。

300km位

300km位まではほぼ気になったことは無かった。途中、コインランドリーで30分ほど休憩しメットを外して休んだし。

500km位

高茂岬へのアップダウン。上るのに夢中だったからか頭の事は全く気にして無かった。

その後、ホテルでお風呂入って2時間ほど休んだし、何かあっても回復しただろう…と、この時は思ってた。

725km位

PC3 に間に合ってしばし休憩。この時、ちょっと首の後ろに痛みと違和感を感じた。

シャーマーズネックになると危ないから外した方がいいのでは?の助言を頂き、確かに…と、まずはバッテリーを外してケーブル給電に切り替えて幾らか軽量化をはかる。

ただ、今にして思えばこの時点で完全に取り外すべきだった。

750km位

しまなみ海道も少し撮影できたからもういいか…と、メットからカメラを外してハンドル前方に取り付け。ちなみにケーブル給電での撮影は途中で止まってた。夕焼けのしまなみ海道がぁぁぁorz

まぁ、ともあれ、カメラも外したし、これであとは大丈夫だろう…と思ってた。

826km位

鞆の浦の常夜灯に到着。この時点では前を見るのに支障は無かったけど、冷え込んで来たのもあって首と肩周りが痛いなぁ…と思い始めた。

このまま進むか、少し休むかしばらく悩んだ後、福山のネカフェまで移動して30分ほど休む。

忍び寄る魔の手

ネカフェでさほど休めず早々に再出発。寒い外に出て再スタートして間も無くのこと。ふと頭が上がらなくなって来た事に気付いた。

この頃はまだ自分の意思で何とかなると思い、背筋を伸ばすようにしたりしながら走ってたが、少し走っては止まって休み、少し走っては休みを繰り返す羽目に。わずか10km先のカブトガニ博物館まで行くのにも結構な時間がかかった。

冷え込んで来たせいもあるのか、それとも一度横になった事で糸が切れたのか、ここからの道は苦難の連続となった。頭が上がらなくなる時間が徐々に増え、冗談抜きに進まない。

ようやっとコンビニ見つけて休憩するも、首が治る見込みは無く。

打つ手無し…

しばらく先に進み、サドルを下げて相対的に前傾姿勢を緩めるようにしたものの、あまりうまく行かず。逆にサドル下げ過ぎてバランス崩して歩道で転けた。三半規管が狂ってる感じ。

このままではまずいと、メットに紐を結びつけて頭を後ろに引っ張ることでようやくまともに走れるようになったが、それも2〜3時間が限度だったろうか。

最後の方には、いくら引っ張っても満足に前を見れず、見えていても認識出来ないような状態に。止まっては進み、止まっては進みを繰り返したものの、それすらも立ち行かなくなり、ついにJR駅を見つけてDNFを決意。

あと80km位。グロス18km/hで走れば間に合うはずだったのにと悔しいが、地面だけ見て走ったら事故って死ぬのがオチ。致し方なかった…。

まとめ

シャーマーズネックになってしまったら、自分の意思や努力ではどうしようもなくお手上げです。

紐でメットを後ろから引っ張っても、いいところ2〜3時間もたせるのがやっと。

顎下に何かクッションでもかませて持ち上げられればもう少し行けたかも知れませんが、そんな装備でも常備してなければ手の打ちようがありません。


とりあえず、いつどうなるかわからないのでスポンジ製の首サポーターを入手してみましたが、長距離では思わぬトラブルが起きます。予防も含めてとにかく色々と準備して備えましょー!

追記

寒くて首や肩の筋肉が緊張した状態で、睡眠時間も少ない中ずっと走ってたのも良くなかったと思います。新幹線車内で数時間眠ったらだいぶ回復したので、今回のケースだと鞆の浦に行く前、福山松永のネカフェで2〜3時間眠って休めば最後まで行けたのかもしれません。自分が思ってる以上に身体にダメージはかかってるので、計画的に休憩と回復を取るのが大切と身をもって学びました。

2023.07 追記

摩周湖1000では、カメラは無しで、前後のライトだけ着けて走っていたのですが、850km地点で首に違和感が起き、900km地点で頭を上げづらくなりました。そう、シャーマーズネックの兆候です。

私的に、シャーマーズネックは次の3段階で進行するように感じています。

フェーズ1: 首の両側の痛み

首の両側から肩にかけて痛みが有り、首を横に向けるのが辛くなる。でも、この時点では前を向くのに支障は無い。

フェーズ2: 首の後ろが重くなる

首の後ろ側に重苦しい鈍い痛みが出る。はっきりとでは無いけれど頭を上げにくくなってる。無意識に背筋を伸ばしたりアップライトポジションを取り出す。これが最終警告。

フェーズ3: 首が上がらない…

首の痛みはもはや無い。無いのか感じないのかわからないけど、とにかく痛みは無い。ただ、首がとろけたように、ナマコのようにくたぁ…っとなって上がらない。もはや自分の意思では制御できない。もう走れない…。

ふと思いついた事

今回はフェーズ2 まで進行しており、ここまで来てDNFか…と諦めかけました。しかし、ここでふと思いついた事が。

素人考えですが、シャーマーズネックは首周辺の筋肉疲労が原因のはず。限界まで達したところで神経がブロックされると考えると、痛みも何もなくナマコのようになるのも頷けます。

疲労してるという事は炎症を起こしてるという事。ならば冷やしてあげればいいんじゃないか?

そこで濡れタオルを首に巻いて冷やし続けたところ、嘘みたいに症状は改善。首の後ろの重さは無くなり、フェーズ1 まで回復しました。

思い起こせば、過去にシャーマーズネックを発症したのはどれも宿に泊まったりした後でした。ついついお湯をかけたり温めたり揉んでマッサージしたことで余計に炎症を広げたんじゃないか?と思ってます。

もちろんメットを軽くするのが一番重要ですが、もしかしたらこんなところにも回避策があるのかも知れません。何かの参考になれば m(_ _)m