トラップの音楽と自転車ブログ

多分、自転車ネタ中心に、時折音楽の話とか。

PBP2023 走行編 (四日目)

これまでのあらすじ

なんとかブレストへはオンタイムで到着したものの、カレ=プルゲールにはわずかに間に合わず。ここまでの無理がたたったのか、次第に速度が落ち、眠気が出てきて、へろへろでグアレックに到着。果たしてこの先どうなるのか…。

WP4 → PC8 ルデアック

区間概要






ところどころ山マークが出ているのが気になりますが、ルデアックまではわずか52km。普通に走れば3時間もあれば行ける距離です。ルデアックに着けばドロップバッグもあるし休めると、そう信じて先へ進みます。

グアレック出発


8/22 22:09 グアレック出発。しかし、この時点で1時間39分の借金は大きすぎる。

悪夢のような夜

時間が無い、時間が無い…と走り出したものの、これ、満足に走れてない…。

22:33 一時停車。
22:40 ふらついている。右端に寄って立ち止まる。
22:51 上りで余計にふらつき、草むらに突っ込みそうになって停車。
22:58 またも停車。秋の虫の声が聞こえる。8分ほど止まってた。
23:08 また停車。
23:11 路肩へ。
23:22 また停車。スピードが上がればまだいいのだけど、上りでのろのろになるとまずい。
23:41 ドリンク休憩。
23:46 また止まってる。
23:57 路肩に落ちる。
24:00 また路肩に…。このあたり、もうだめな状態。

2時間かけて、わずか18km、1/3 しか走れていないのか…。

フランス道は端っこが恐い


ふらふらして右端のラインキープが難しくなっている。日本だと白線の外側に路側帯がある事が多いけど、この辺りは車道の端がすぐ未舗装の路肩なので、端に寄りすぎて路肩の草むらに突っ込むことがしばしば。端っこ、恐い。

Cléguérec で立ち止まる


8/23 00:20 やっとの思いで Cléguérec (クレゲレック) に入った…。もうふらつきすぎて危ないレベル。ここで建物の壁によりかかって少し休憩。再出発してからも10分おきに1~2分休むのをキープでぎりぎり進んでいる感じ。

異国の方にめっちゃ心配される


00:56 前にいた方、どこの国の方かわからないけれど、ふらふらの私を心配してくれて話しかけてくれる。片言でも「ガンバリマショウ」と日本語で話してくれるとかありがたい。これ以上迷惑かけてもいけないので、「休み休み行くので大丈夫…お気をつけて、Good Luck…」と話して先に行ってもらった。

その後もぎりぎりの行軍に

01:06 「どっかで寝たいなぁ…」とつぶやいている。10分ほど寝たと思う。この時、録画を止めてしまったことで翌朝までの記録が無いのはしくじった。
01:27 再び止まる。9分ほど休んでいた。
01:40 再び止まる。16分ほど休んでいた。

更に2時間、ようやく Pontivy

02:00 Pontivy (ポンティビー) に着いた。しかし、2時間で走った距離はわずか 12km…。全体的に速度が落ちているのもあるけれど、走っているよりも止まっている時間の方が長くなっていることがわかる。これは厳しい…。

03:25 Saint-Gérand-Croixanvec (サン=ジェラン=クロワアンヴェック) 。20分ほど休む。
04:19 再び休憩。6分ほど。
04:34 再び休憩。5分ほど。

Hémonstoir

04:45 Pontivy から 16kmの Hémonstoir (エモンストワール) に到着。グロス平均で 6km/h 程度。

04:56 6分ほど小休憩。
05:13 7分ほど休憩。
05:29 10分ほど休んだ。

後からこの区間を振り返って

正直、自分でもこの区間何があったのかはっきり覚えていなかった。

GPS (etrex) のログと AS300 の動画から調べた結果、速度が出ない以前に、ちょっと走っては休み、ちょっと走っては休みを繰り返しており、実質的に通常の半分未満に落ちていたのだと判明。普通に考えれば3時間もあれば行けるところを、8時間もかかるとは。

ところどころで仮眠して来たとはいえ、まともに横になって休んで来なかったツケですね。これも後になって思えばですが、せめてグアレックの仮眠所で眠るべきだった。3時間寝たとしても、復活して3時間で走れればまだ余裕があったはずなのに…。

もっとも、身体の故障による限界が来ていたのも事実。折り返しまで気を張っていたものが途切れ、ついに悲鳴を上げ始めたのだろう。

やっと見えたオレンジの光


8/23 05:45 オレンジ色の暖かな光…あぁ、ルデアックの街だ…。

ルデアック到着


8/23 05:53 ルデアックに着いた…。なんとかここまで生きてたどり着いたんだ…。

782km地点
PC8 ルデアック
到着時刻: 8/23 05:53
close: 8/23 00:55
到着時貯金: マイナス4時間58分

ルデアックで休憩を






ルデアックに着いたあとはどうしたんだったかな。

そうそう、ここまでずっと着替えずに来たので真っ先にドロップバッグに向かったんだった!身体も心も疲れ切って左肩も痛む中、この先もう一晩を越えるのは無理だと悟り、認定完走は諦めてここでゆっくり休むことに。

着替えについては、私はバスタオルを身体に巻いて、いわゆる小学校の水着への着替え方式で行いましたが、見たら外にテントが建ててあったんですよね。グッディスポーツさんに聞いたら、女性が着替えるのに不自由ないようにと急遽設置されたんだそうです。ありがたいことですねぇ。

それと、今回のドロップバッグの場所も他とうまく交渉して得た場所だそうで、屋内にバッグを置けるし、コンセントも一つあるのでお湯とかコーヒーとか自由にいただけるという便利さ。私はコーヒーをいただいて、バッグに入れていたおにぎりとで優雅な食事ができました。

そうそう、箱が置いてあって、あまった補給食など置いていけるようにされてましたが、なんでもボランティアさんに後で配ったりするんだとか。こうした事が、また次の機会にいい場所を押さえられたりするそうで、私も残ったもの全部置いてきました。

PC8 → WP5 ケディヤック

区間概要






区間距離は61km。上ったり下ったりを繰り返してますが、日も昇ったことだしなんとか走れるでしょう。

ルデアック出発

8/23 08:30 だいぶゆっくりしてしまいましたが、ルデアック出発です。出発しかけて、ブルベカードにスタンプをもらうのを忘れてたことに気づき戻る羽目に。何日も走ってると思考能力がガクンと落ちるので、PCに着いたらすぐにコントロールに行くこと、決まったルーティーンを行うことが重要だと思い知りました。それにしても、この時点で借金7時間35分。無理かけてきて限界に来てたんですねぇ…。

私設エイドでコーヒーを頂く


8/23 09:51 ルデアックを出て南東へ進み、Plumieux (プリュミュー)の町に来ました。左側に私設エイドを見かけて吸い込まれコーヒーを頂く。ありがたい…。

Ménéac の私設エイドで水を頂く


10:55 Ménéac (メネアック)の私設エイドに立ち寄り。ここでは水を頂く。ありがたい限り。

Illifaut (イフォー)でガレットを






8/23 11:48 走ってたら大きな有料私設エイドを見つけたので立ち寄り。お、あれはガレット?ソーセージを巻いてて美味しそう!思わずコーラと合わせて頼んでしまいました。ちょっと焼け過ぎ感はあったけど、お肉食べれて満足(^o^)。食べるって大事です。

Saint-Méen-le-Grand のスーパーで休憩


8/23 13:01 Saint-Méen-le-Grand (サン=メアン=ル=グラン) に入りました。


13:03 スーパーを見つけて立ち寄り。野菜分が欲しくてトマトを買って食す。美味い…。


ブレストの時とは比べ物にならないくらい疲れ切った顔。食後に少し店の脇で座って休み、20分ほどの休憩で 13:20 再出発。

ケディヤック到着


8/23 その後も時々小休憩を挟みながらで、ようやくケディヤックまで戻って来ました。食事もしてたとはいえ、制限が緩くなった復路で、しかも日中でも借金が増えてるとか、どれだけ疲れ切っていたのかと。

842km地点
WP5 ケディヤック
到着時刻: 8/23 14:00
仮想close: 8/23 05:34
到着時貯金: マイナス8時間26分

WP5 → PC9 タンテニアック

区間概要






区間距離25kmと短めです。元気な時なら一時間あれば行けそうなのですが、この状態ではどのくらいかかることか…。


14:03 ケディヤックは Welcome Point なので、ついさっき食事して休んだ事もあり、中に入らずこのままいくことにしました。

Médréac


14:31 Médréac (メドレアック)を通過。どの街に行っても建物が興味深い。


直射日光で暑い時間帯です。延々と続く道をひたすらに。

上りで押し歩きに


15:08 暑さと疲労で満足に上れず、あきらめて押し歩きしてます。上りに弱いと言われるベロモービルにも抜かされる始末。

Saint-Pernで人の情けに触れる


15:13 Saint-Pern (サン=ペルヌ) にて。こんなへろへろで走ってる私とかを応援してくれるとか嬉しいなぁ…。

ジェスチャーで左肩が痛いし疲れ切ってて…と話してたら、「じゃあ、これも持っていきなさい」とフルーツを頂いてうれしいやらありがたいやら…。


そのちょっと上った先でも、へろへろで押し歩いている私の腕を支えてくれて、フルーツをご馳走して頂いたりありがたい限り。

国、人種、言葉、色々と違っても人の気持ちってのは同じで伝わるものだなぁ…としみじみ感じました。

Bécherel (ベシュレル)


15:30 坂を上り切って再び乗車。Bécherel の町を抜けていきます。

PC9 タンテニアック到着


8/23 16:06 やっとタンテニアックまで戻ってこれました。往路で来てからずいぶん長い時が過ぎた気がします。

867km地点
PC9 タンテニアック
到着時刻: 8/23 16:06
close: 8/23 07:30
到着時貯金: マイナス 8時間36分








さすがにクローズタイムから8時間以上も過ぎてるので人も少なくなって来てますね。


8/23 16:25 それでもまだコントロールも食事もやってるので、ここでしばしの休息と補給を。これ、何だったのか良くわからない(わからないので、あれが欲しいと指差しで頼んだ)けれど、甘くって疲れた身体にはとても美味しかった。

PC9 → PC10 フジェール

区間概要






往路では「結構走りやすかった」という印象でしたが、アップダウンを見る限りは楽そうには思えず…。60kmなら普段は4時間あれば余裕なのですが…。

タンテニアック出発


16:39 長居せず、33分の休憩でタンテニアックを出発。ハイタッチしたかったものの、もう左腕を上げることもできない状態で申し訳なく。

美しく彩られた街を背に






さらば、美しく彩られたタンテニアックの街よ。


17:00 食事したからか休んだからか、この辺りは幾分調子よく走ってたかな。

木陰と私設エイドと


17:42 走り出してから約一時間、木陰で休んでいる方を見かけ、私もつられて休憩。日陰は涼しくて気持ちいい…。


17:53 ただ、休憩して少し降りた場所に私設エイドがあったので、ここまで来てから休めば良かったかなぁとも思ったり。コーラやフルーツを頂いてありがたい限り。


18:12 その先でも私設エイド発見。どうせ休むなら道端で止まるよりこうした場所での方が補給出来てありがたいですね。こちらではオレンジジュースを頂いてリフレッシュ。


18:35 その先も適宜休憩を取りながら、一路、東へ、東へと。

続・異国の方に心配される


18:40 正直、ここまで走ってきてかなり左鎖骨に来ていた。乗る時にちょっと左腕に力をかけると下から槍で刺されるような痛みがあり、すぐ乗れずに何度もケンケンケンケンして勢いつけて乗車せざるを得ないほど。

横道にそれて左肩を抱えていたら、一度通り過ぎかけた方が戻って来て「大丈夫か?どうしたんだ?救急車呼ぼうか?(推測訳)」と。

「折ったのは7月なので大丈夫、ありがとう」と応えて別れたのだけど、こんな見ず知らず、しかも通り過ぎてなお引き返して心配してくれるとか、人の情けというものをしみじみ感じます。


18:45 もう私設エイドを片付けようとしてたところだったんだけど、へろへろ走ってる私をみかけてフルーツを持ってきてくれた方。本当に誰も彼も皆さんありがたい…。

Ercé-prés-Liffré






19:04 Ercé-prés-Liffré (エルセ=プレ=リフレ) 907km地点に入った。でも、まだ走り続けている人はいるわけで、町に入るとこうして声援を送ってくれるのが本当うれしい。


19:20 私設エイドで水をもらう。カメラを2つもつけてるの見て驚いてたっけ。


19:50 Saint-Aubin-du-Cormier (サン=トーバン=デュ=コルミエ) に入った。916km地点。

20:02 道端で2~3分小休憩。かなり疲れているのが自分でもわかる。カメラのレンズを拭いて再スタート。
20:22 ハンドルに突っ伏している。


20:33 Le Pâtis Buret (ル・パティ・ビュレ) の私設エイドで水とケーキを頂く。とっても美味しかった!

4回目の夜へ


20:38 だんだんと暗くなってきた。あぁ、最後の夜が始まるのか…。


21:11 往路でちょうどいい木陰を見つけてお昼寝したRomagné (ロマニェ)。やっとここまで戻って来たんだなぁ…。


21:22 日没となり本格的に暗くなってきた。ここまではまだ明るくて意識がもっていたけれど、ここからは正直どうなるかわからない。8分ほど休憩して出発する。

懐かしのマクドナルド!


21:42 フジェールに向かう途中、キラリと輝く黄色い明かりが目に入った。初見なら見逃したかも知れないけれど、往路を通った際に見ている。あれは、あの輝く M マークはマクドナルドだ!



21:44 時間的には全く余裕は無い。無いどころか既に完走は無理と悟っている。でも、それだからこそ、この先倒れないようにしっかり食べて休憩するべき。

ちょっと入り口がどこかでうろうろしたものの、無事にマクドナルドに到着。


ちょうど入れ替わりで2人のランドヌールが出ていくところだったので、彼らが停めてたガラスの前の位置に停車し、施錠。店内へ。

タッチパネル注文ではまる

さて、自転車の見える位置に席を確保して注文へ行ったのだけど…、あ、ここはタッチパネルの注文なんだ。まぁ、でも QUICK でも操作してたしどこも大差ないだろう…と始めたのだけど、最初からわからなくて固まる。

えーと、何かポイントカードがあれば提示しろとか出てる。持ってないのでスキップして先に進むと普通に商品を選べたのだけど、最後の最後になってまた何かの番号を入れろと出てくる。

え?ポイントカードは持ってないからスキップしたのに、何でまた番号を聞かれるわけ?それとも何?何かの会員にならないと注文出来ないとか???

すっかり手詰まりになって困った時、私が確保した席の近くにいるランドヌールを発見。恥を忍んで操作方法を尋ねると快く応じてくれて一緒にパネルで操作。

すると、なんと、最後に聞かれた番号とは『注文した後に席に届けてもらう為の番号札の番号』だったのでした(汗)

あぁぁ、そぉかぁ…、てっきりレシートに注文番号が出て、カウンターに取りに行く方式だとばかり思ってたから、パネルの横にある番号札に気付かなかったよorz


そんなわけで、色々と手間取ったものの、ジェームスのおかげで無事に注文でき、一緒のテーブルで美味しくマクドを味わえたのでした。ジェームス!連絡先も何もわからないけど、あの時はありがとう!!

ジェームスに引かれてフジェールへ







22:26 「よし、じゃあ行こうか。ついておいで!」とジェームスが先導してくれた。なんてありがたい。ただ、彼めっちゃ速い。あの暗い中でなんでこんなに速く走れるんだろう?必死になって追っかけてました(汗)

フジェール到着


8/23 22:45 かくして、フジェールに到着。マクドナルドからここまで引いてくれたジェームスに感謝!

928km地点
PC10 フジェール
到着時刻: 8/23 22:45
close: 8/23 12:10
到着時貯金: マイナス10時間35分

コントロールが無い

しかし、フジェールに着いてブルべカードにスタンプを…と思ったら、既にコントロールは撤収されていた。えぇぇ…。

どうしたらいいの…と困ってたら、どうやらレストランはまだ営業していてスタンプ押してもらえるとのこと。とりあえずホッとした。

嬉しい再会

レストランを出て歩いてたら、「トラップさん?」と聞き覚えのある声が。なんと、フレッシュでご一緒した同郷のしんぽんさんと再会!まさかこんなところでこんな時間に会うとは!聞けば、体調がよろしくなく、時間外完走を目指す方向に切り替えたとのこと。

そうか、認定完走は無理でも、スタンプさえ集められれば時間外完走という手があるんだ。今からならまだ間に合うかな。それならば、私も時間外完走を目指してみよう!

フジェールまでの総括

もはや満身創痍で、速く走ることは無理。力がかかる度に左肩は刺されるように痛み、どこまで走れるのかもわからない。

ただ、それだからこそ、寄り道したり、私設エイドの人々との交流に、ランドヌールの支え合いにと、がむしゃらに走ってるだけでは見えなかったものが見えたと思う。

正直、もう完走は無理だとわかっているけれど、それとはまた別の得難いものを感じられたライド。それがこの区間でした。

to be continued...