プロローグ
暗峠。それは、東大阪市と奈良生駒市とを繋ぐ国道308号。距離こそ短いものの斜度が厳しく、国内随一の激坂として知られている。
な〜んて、昨年まで全然知らなかったんですけどね(^^;
いや、不思議なもので、何かに夢中になってのめり込んでると、色んな新しいチャレンジの話が耳に入ってくるんですよ。
それでつい「暗峠、いつか登ってみたいなぁ…」なんてつぶやいたら、あっという間にあちこちから情報が集まって来て、いつの間にか包囲網が出来てしまったという(笑)
こうなったら、もう行くしかないよね!!
前哨戦と挫折、そして超乙女ギアへ
そんなわけで、まずは手近な所からと地元仙台の激坂を登ってみました!しかし斜度25〜28%位でも今の実力とギア比では登れないという事が判明 orz
「実力が無ければ機材で解決すればいいじゃない」
こうして、スプロケットを11-28Tから11-34Tの乙女ギアへ、フロントのチェーンリングもノーマル(53-39T)からセミコンパクト(52-36T)へと換装したのでした(^^)
ちなみに、今までは 105 使ってましたが、あれ、裏面が凸凹してて掃除し辛いんですよね(汗)。それもあってクランク周りだけ ULTEGRA にアップグレード♪
これでインナーローは 39/28→36/34 と大幅に軽くなりました(^^)v。愛機 CARACLE-COZ は 28-451 のミニベロだから、700c 換算だと大体 0.8 位かな?これだけの超乙女ギア比ならばきっと行けるはず!(^o^)
大阪までの長い道のり
あらためて言うのも何ですが、仙台から大阪はかなり遠いです。青春18きっぷで行くとなると片道18時間ほどかかるでしょうか。
そしたら、ちょうどタイミング良くワールドサイクルさんのロードバイク基礎講座があるじゃないですか!前々から気になっていたので速攻で申し込みました。
ロードバイク基礎講座
普通の講座って、どちらかと言うとレースとか上位を目指すような内容が多いと思うんですよね。でも、私みたいなのにはオーバースペックで、それ以前にそもそもどうやって乗るのか、どうやって走り出すのか、どうやったら安全に止まれるかが先決。
いわば、赤ん坊がハイハイして立ち上がって安全に歩けるようになる為の過程をロジカルに学べて体験できるのがこの基礎講座です。今後の練習方法もしっかり学べたし、実に有意義でした。ある程度年齢行ってから始めた人には特にお勧めです(^^)
ここで教わった事が午後からの暗峠チャレンジに大いに役立ちました(^^)b
暗峠チャレンジ初日(3/19 午後)
枚岡駅からスタート
時に、枚岡駅って、ひらおかえきって読むんですね。てっきり、まいおかえきだと思い込んでて昼食時に総ツッコミ受けました(^^;
ところで、枚岡駅からスタートする人へ一つアドバイスを。ここ、駅にコインロッカー無いので、荷物ある方は他所で預けて来た方がいいです。リュック背負って登るのはちょっとキツかったので(汗)
道に迷いつつもチャレンジ開始!
ビンディングペダルに替えて準備万端。ナビに従って暗峠へスイスーイ…と思ったら、変な小道に案内されて上ったり下ったり。迷った挙句、ようやく出て来たのがここ(自転車ナビめ…(--;)
本当の開始点はもっと下だけど、既に行ったり来たりで疲れたので今回はここから登り始めます。とりあえずインナーでギアを2枚残した状態で 15:30スタート!
わずか数分で足着き(>_<)
…え?何これ?ほとんど登れないんですけど??(汗)
これだけの超乙女ギアにしてても一度停まると再発進がすんごく厳しい(汗)。なまじっかビンディングで来たの失敗だったかも。右だけはめて何とか左も…と思うものの、はめるまでに至らず。
回せずに右脚の踏み込みだけで進んだ場所も何ヶ所か…このギア比でもこれとは…暗峠恐るべし。
ビンディングペダルをあきらめた(>_<)
止まる度に息が落ち着くまで休んで、写真も撮りながら行く方針に転換したものの、再発進が厳しくてビンディングの良さが引き出せないどころか、下手にはまるとぶっ倒れかねない。
ここでSPDからフラットペダルへ急遽交換。荷物にはなったけどペダル持ってきてて良かったぁ…。
16:10 石碑群の近くに到達。手で押さえて撮影するのがやっと。手を離した瞬間に坂の下に転がって行っちゃうんですよ…。
エグい場所に来た
噂の最大斜度のカーブ!
16:21 来た来た来た、ここが噂の暗峠最大斜度のカーブか!!
タイヤ痕が全てを物語ってますね(^^;。ただ、よく見るとイン側は確かに斜度37%とも斜度41%とも言われるけれど、アウト側はそんなでもないと言うか、むしろ緩いくらい。螺旋階段みたいな感じです。
終盤戦、そして石畳みへ
この後も少し上りがありますが、短い距離なのでサクサクっとクリア!しかし、斜度が20%を切ると楽に感じるって、ちょっと感覚が狂い過ぎだわ(汗)
16:43 噂に聞いた石畳みに入りました!ここまで来ればあと少し!…だけど、ロードバイクにはこのガタガタ道はちょっと辛い(汗)
暗峠のてっぺんに到着!
16:45 暗峠のてっぺんに到着!!…なのだけど、実は一旦気付かずに通り過ぎてしまい、危うく奈良に下りかけてUターンしたという(苦笑)
石畳みをガタガタ言いながら進んでて県境の標識に気付かなかったんですね(^^;ゞ
到達したんだ!と気付いた瞬間に、「フハハハハ…」と笑いがこみ上げて来て、「やった、やった、やった…」と小さく拳を握りしめました(^-^)o
自分の足で登って来たんだという事に感激w(T-T)w
途中、ペダルを回せなくて右脚の踏み込みだけで進んだ箇所もあったし、ちょっと後悔が残るなぁ…。
ここで明日の天気予報をチェックしてみたら、午後は怪しいけど、お昼過ぎまでは降らなさそう。少し悩んで決めました。
「よし、もう一泊して、もう一度明日チャレンジだ!」
そうと決まれば話は早い。ササっと近くのネカフェを調べ、来た道を大阪に戻ります!
暗峠は下りだってヘヴィ
さて、登ってくるのにも苦労した激坂です。正直、下るのも生半可にはいかないわけです。ましてや前傾姿勢のロードバイクではかなり怖いところ(汗)
上からブラケットを握ったのでは、あっという間に握力が無くなってブレーキを握れなくなります。怖くとも下ハンを握ってしっかり左右のブレーキを握って下りてかないといけません。
ここで、午前中のロードバイク基礎講座で教わった事が大変役立ちました。いかに安全に握るか、いかに安全に怖くなく下るか。教わって無かったらちょっと無理だったかも。
もっとも、さすがにこれだけの急な下りは未経験で、とにかく 6〜7km/hでトロトロと下るのが精一杯(汗)。ちょっとでもブレーキを握る手をゆるめるとスーーッとスピードが上がるし、激坂まじ恐るべし(汗)
両腕に体重かかって疲れるし握力は落ちてくるしで、何度も止まって休んでして、17:43 無事にふもとまで下りて来ました!
この後、東大阪市内のネカフェまで走りましたが、暗峠を登って下りてして来たせいか脚が軽い軽い。平坦ってこんなにも楽なんだなぁと実感でした(^^;
暗峠チャレンジ二日目(3/20 午前)
ネカフェを出発!
(ちなみに読んでたのは「五等分の花嫁」)
本日の装備
昨日の反省から、リュックや不要な荷物は近くの駅(新石切駅)のコインロッカーに預け、最初からフラットペダルで行くこととしました!
もちろん足着き無しで登れる人ならビンディングの方が効率良いと思うんだけど、これだけの激坂となると再発進時のキャッチは至難の技。何度も足を着く前提ならフラペ、おすすめです!
暗峠、二日目チャレンジ!
さて、早速登ろうと思って来てみたら、何やら登り口で撮影をしてる様子。何だろう?と思いつつも、邪魔すると悪いので時間をずらすべく反対側の方に回りました。
11:07 はい、こちらが車で上がってく時の入口です。暗峠は狭いから、車の場合は上り側と下り側とが分かれてるんですよね。ここを右折して上って行くと、昨日のスタート地点に着きます。
11:16 坂を下ってガードをくぐった所に戻って来ました。ここから本日の暗峠チャレンジ・スタートです!
なお、今日は写真撮影は無し。動画撮影だけ Insta 360 ONE X2 でずっと回しておいて、後から確認しようという腹です(^^)
登ってる途中で撮影隊と遭遇
登り始めて少し行ったところで、先ほど見かけた自転車乗りのお二人と撮影隊の方々と遭遇。こちらも一気に登っては行けないので、足を止めて休みながら聞いてみたら、何やらウイークエンド関西という番組の収録とのこと。お一人は何百回も暗峠を登ってる達人で、もうお一人を案内して登っている感じ。
後から知ったのですが、案内されてる方は番組のキャスターで、達人はTwitterで暗峠のお話を聞かせて頂いた安々さんその人だったという。
えぇえっ?ちょっと待って!まさかまさか、あの時あの場所でご本人とお会いしてただなんて(汗)。いや、まったくつゆ程も気付かずで、一言もご挨拶出来なかったのが返す返すも残念(>_<)
しかし、なにがしか活動していると色んな場所で凄い人達と出会えて実に面白いですよね。世界は広いけど世間って意外に狭いのだわ。
峠道の真ん中で出会った白髪の紳士
結構息が上がって、足を止めてゼェゼェやってたら峠の方から歩いて来た老紳士に声をかけられました。
老紳士は70も半ばを過ぎているとの事でしたが、暗峠を平気で歩いてるだけあって、胸も腕もパッチパチの凄い筋肉!柔道や空手もされてたそうで至極納得です。こうしてお話を聞いてると、自分もまだまだ鍛えて高みを目指していけるんだなって、勇気を貰えます(^^)
お話ししてる最中にも、ランナーさんがお一人脇を駆け抜けて行きました。日に何度も大阪と奈良を往復して走る名物ランナーさんなんだそうで、いや、本当に皆さん凄すぎる(汗)
二度目の最高斜度ポイント
二度目ともなると攻略法もある程度わかってくるものですね~、問題の急斜面も外側を難なく通過!(^^)
昨日、あれほどキツイと感じた激坂も、さすがに二日連続で登ると慣れてきた気がします。もちろん、何度も足を着いてゼェハァして休んでは走り、休んでは走りの繰り返しでしたけど、フラペのおかげもあって押し歩きも踏み込みで進むのも無しで、全箇所で再発進に成功。無限コンティニュー可ならこっちのもんじゃい!
それにしても暗峠って、歩行者も自転車もほぼ同じようなスピードで歩んでるんですよね。なんか共同体のような感じがあって、互いに挨拶したり励ましあったりといい感じです。激坂だけど、いい坂です(^^)
暗峠チャレンジ、私的満足に達成!
12:21 うぉぉぉーっ、最後までペダル回して登り切ったーーっ!(^o^)
普段は一人きりなので自分が写ることは滅多に無いんですが、休日で観光の方もいらしてて、写真を撮って頂きました(多謝)
それにしても、もう、どれだけ暗峠を登り切ったのが嬉しいんだよ!って顔してますね(笑)
この向こうは奈良だよ!
念願の峠の茶屋すえひろさん
不定休という事で開いてるかどうか不安だったけど、旗日で休日だった事もあってか見事に営業されてました!(^o^)
ここには、自転車で登って来た人だけが書き込めるノートがあり、それに一筆書きたかったので、開いてて本当嬉しかった!
特にあずきコーヒーは、最初はかき混ぜずに上のホイップクリームを楽しみながら頂き、途中からスプーンでかき混ぜて中のあずきを味わいながら飲むのがまたたまんなくイイ!のです。
峠の茶屋で出会った常連さん
時に、注文し、いざノートに書こうとしてたら、別の方がバタバタっと来て先に書き始めてたので恐る恐る声をかけてみると、なんと、その方も暗峠には百回以上登ってる常連さんだとのこと。
せっかくなので同じテーブルで自転車乗り同士、お話させて頂きましたが、先のサイクリングノートにはその方の名前がびっしり書かれてるし、足着き無しで登って来てるとか本当に凄い!
食事を終えての帰り道
食事を終えて、そろそろ峠を下ろうか…と出て来たら、店の外でさっきの撮影の続きやってました。
カメラに映らない位置で先程のスタッフさんとお話しながら眺めてましたが、あれだけ長く収録しても、放送で使われるのは 1/10 にも満たないんですよね。収録風景をあちこち見てた身としては、大変なんだなぁ…と感じることしきりです。
二度目の激坂下り
さぁ、再び恐怖の下ハン前傾帰り道です。しかし、昨日は結構怖かったのに、充実感、達成感でいっぱいだからか、乗り方に慣れたからか、今度はいいペースで下れます。
重いギアで踏み込みながら下って行くと腕だけでなくペダルに体重が分散されて楽になるのも覚えたし、折り畳みでサドルの上げ下げが自在なので、サドルを下げて前傾を弱めるようにしたのも激坂下りには良かったかも。
14:15 かくして、暗峠チャレンジを終え、満足感と共に大阪を後にしたのでした。